今回の特集は猫風邪(猫の上部気道感染症)についてです。
猫風邪の原因になる病原体は主に①猫ヘルペスウイルス、②猫カリシウイルス、③猫クラミジア、④気管支敗血症菌(ボルデテラ菌)の4種類で、多くの場合、複数の病原体が混合感染しています。特に猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスは猫風邪の約80%に関与していると言われています。
【猫ヘルペスウイルス】
単独感染で引き起こされる病気は「猫ウイルス性鼻気管炎」と呼ばれ、主に食欲不振や発熱、くしゃみ、鼻水、涙、目ヤニ、結膜炎といった症状が現れます。
くしゃみ飛沫の吸入や猫同士のグルーミングなどで感染するので、同じ部屋にいてよく触れ合っている猫は注意しなければなりません。
発症した場合、回復まで数週間かかることが多いです。症状が落ち着いてもウイルスは潜伏感染という形で体内に留まり、ストレスなどをきっかけに再発する場合もあります。
【猫カリシウイルス】
単独感染で「猫カリシウイルス感染症」を引き起こします。この病気でも発熱やくしゃみ、鼻水などが見られるのですが、それ以外では口内炎ができやすいのが特徴的です。
感染経路は猫ヘルペスウイルスと似ていますが、猫の体外でも室温環境であれば数週間も活性を持っているため、寝床や飼い主の服を介しての感染にも気を付ける必要があります。ウイルスの拡散を防ぐためには適切な消毒が重要です。
“猫の風邪”と言うと軽い病気に聞こえがちですが、仔猫や抵抗力の弱い個体では重症化して命にかかわるケースもあります。最初は軽いくしゃみ程度だったとしても、色々な病原体が二次感染すると酷い肺炎を起こしてしまうかもしれません。
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスについては混合ワクチンで予防可能です。予防効果が100%というわけではありませんが、感染リスクを減らし、発症したとしても軽症に抑えることができます。
詳しくはかかりつけの動物病院にてお問い合わせください。