今回沢山質問をさせて頂きましたが、紙面には限界がありますので、こちらでご紹介をさせて頂きます。
質問1
訓練に至るまでの経緯の中で、一番苦労した事、困った事を教えて下さい。
回答
訓練を進めるに当たっての手続き上困ったことなどは無く、関係機関に方々に丁寧に説明することで理解は得やすかったです。
難しいと感じたことは、私自身のプレゼン能力に大きく左右されることですので、個人的な問題だと思いますが、組織や職員の意識改革は本当に難しいと感じました。
質問2
座学学習での参加者からの質問、又は学習内容。その時に印象に残った質問、研修後に出た意見があれば教えて下さい。
回答
⇒座学研修学習内容
- 令和元年
➀ 視覚障害者と盲導犬・聴導犬・介助犬及び全国の身体障害者についての状況説明〔日本盲導犬協会〕
➁ 視覚障害者の誘導要領確認及びアイマスク装着による視覚障害者模擬体験〔日本盲導犬協会〕
- 令和2年
➀ 視覚障害者と盲導犬について〔日本盲導犬協会〕
➁ 盲導犬使用者と自然災害について〔盲導犬使用の被災視覚障害者〕
・駐機訓練、飛行訓練(着陸状態)、飛行訓練(吊り上げ状態)
質問3
それぞれの困った事や難しかった事、気になった事はありますか?
回答
⇒駐機訓練において困ったことなどは特に感じませんでした。
飛行訓練では、着陸状態・吊り上げ状態ともにヘリの騒音や強い吹きおろし風に対する盲導犬の反応が気になっていました。挙動不審により救助困難とならないか非常に気にしていました。結果はいずれも問題なく終了することができました。
質問4
訓練実施後の意見、今後の課題などがあれば教えて下さい。
⇒訓練協力者の訓練実施後の意見・感想
⑴ 盲導犬育成団体
➀ 訓練は昨年に引き続き実施され、安心して参加できた。
② 盲導犬は、ヘリの爆音や風圧に驚いている様子はあったが、どの犬も極度に怖がることはなかった。また、吊り上げ開始から機内に収容、着陸し降機するまで大きな動きをすることもなかった。
③ 今回の訓練は、視覚障害者が被災した場合に救助される可能性を広げることに繋がり、非常に有意義であった。
④ 昨年、今年と訓練に参加し、救助活動の練度は駐機訓練の実績に比例していると感じた。
⑤ 視覚障害者については、視覚情報が得られないことから、実際に触れさせて指示したり、具体的な距離や方向等を示したりすることが必要。
⑵ 被災視覚障害者
➀ ヘリの爆音と風圧には驚いたが、思ったより怖くはなかった。
② 一昨年の豪雨災害の際のように実際の災害が起こった時、盲導犬を置いたまま自分だけが救助されることはできないように思う。
③ 逃げ遅れることのないよう早期の避難は大切と認識しており、地元の避難訓練には必ず参加するようにしているが、実際に警戒レベル3での避難は負担が大きいことから、現在では、地元民生委員の協力を得て逃げ遅れることが無いよう早期の対応を心掛けている。
④ 今回の取り組みで、救助の選択肢が増えたことは心強く、まさかの災害時に盲導犬とその使用者の命が助かる可能性が広がったと感じた。
⑤ 機内収容後の機内移動時を含め、どれくらいの距離をどちら方向に移動するか声にして教えて頂けると安心できる。
⑥ 今回の訓練で、救助方法や声掛け等の訓練を行う駐機訓練がとても大切であると感じた。
⑦ 「災害は忘れたころにやってくる」時代ではなく、「忘れる間もなくやってくる」時代と感じている。
市民、県民への何かメッセージやお願いがあれば是非、お願いします。
⇒⑴ 救助活動の安全性を考慮し「ペット」は対象外としています。
⑵ ヘリによる救助活動は最終手段であり(吊り上げ救助は危険作業)、「孤立地域からの救助」等地上隊での対応ができない場合や、進展性の災害状況下で地上隊の到着まで時間を要する場合等に限られます。
- 例え補助犬であっても、「要救助者が多数の場合」や、「盲導犬が暴れる等により安全な救助活動ができないと判断される場合」等、同時救助を断念する場合もあります。
⑷ 同時救助を断念せざるを得ない場合もあるため、ご自身の平素からの準備(確認)が必要です。
➀ 避難する避難所・経路・方法等の確認〔自助〕
② 避難に支援が必要な場合の支援要請〔共助〕
③ 想定される避難所の補助犬受入体制〔公助〕
最後に、皆様へ一言お願いします。
「ヘリであっても救助を断念せざるを得ない場合があります。それ故、逃げ遅れることが無いよう早めの避難が最も重要です。」
如何でしたでしょうか?
一人一人の命を守るため、皆さんの行動が自分自身、そして目の前の命、誰かの大切な命を守ります。
先ずは自分が避難する、その行為も救助の一つだと思えませんか?
ラソが何故何度も何度も防災について、お話をするのか。
それは、命を大切にして欲しいから。
どんなに生きたいと願っても、叶わない事もこの世にはあります。
でも、出来る限りの手は尽くしたいと思います。
そして今回ご協力頂きました広島市消防局航空隊の皆様の日々の訓練や活動があり、私達の安心安全な生活は守られています。