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教えてドクター vol.45

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マダニ媒介感染症について

マダニは草むらに潜んでいて、そばを通った動物の体表にくっ付き、皮膚に咬みついて吸血する寄生虫です。マダニに刺されること自体、皮膚炎や痒みの原因になりますが、それだけでなく、マダニには病原体を媒介するという厄介な特性があります。今回はマダニが媒介する感染症のうち代表的なものを紹介します。

【犬バベシア症】
バベシアは原虫の一種で、血液中の赤血球に寄生して破壊します。赤血球を破壊された動物は貧血になり、その他、発熱、血色素尿、黄疸が見られることもあります。
抗原虫薬や抗生剤などで治療しますが、貧血が進行すると命を落としてしまう怖い感染症です。

【猫ヘモプラズマ症】
マイコプラズマという病原体が原因です。バベシアと同じく赤血球に寄生して破壊、貧血を引き起こします。マダニの吸血以外では、感染猫と激しい喧嘩をして感染することもあります。こちらも貧血が進行すると命に係わります。

【重症熱性血小板減少症候群(SFTS)】
これはウイルス性疾患で、犬猫だけでなく人にも感染する人獣共通感染症です。発熱や消化器症状(嘔吐、下痢、血便など)がメインで、血液検査では血小板の減少が見られます。
ご高齢の方では重症化しやすい傾向があり、致死率は6.3~30%とも言われています。今のところ有効な薬はなく、ワクチンもありません。

これらの感染症は基本的に、マダニを避けることで予防することができます。犬の散歩後はマダニが付いていないかチェックしましょう。猫は屋外へ出さないことをお勧めします。人も、マダニが生息していそうな場所に立ち入るときは長袖長ズボンを着用するなど、なるべく肌が露出しない服装を心がけてください。
万が一ペットやご自身にマダニが付いていた場合は、素手で触ったり潰したりしないよう気をつけましょう。マダニを潰してSFTSに感染した事例もあります。
マダニが媒介する感染症は危険なものが多いですが、日々の生活で気をつければ避けることができます。犬や猫に対してはノミ・マダニの予防薬を活用しましょう。
マダニに刺されたなど気になることがありましたら、かかりつけの動物病院や医療機関などへお問い合わせください。

あべ動物病院
 片山先生

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